脳の病気 脳の手術

脳の病気、脳の手術について分かりやすく解説します。自分の言葉で書きますので、間違った表現、間違った内容が含まれる可能性もあります。情報の取り扱いには十分ご注意下さい。

記事は順次追加していき、Twitterでもお知らせしますのでフォローをお願いします。脳の病気は、術後も長期的に経過を見る必要があるため、近くで信頼できる医師を見つけるのが良いと思います。愛知県東部の方は、直接相談にも乗れますので、必要な方はご連絡下さい。


質問箱(脳神経外科医@愛知県)

1 (2) 脳出血

脳室ドレナージ術

脳出血の手術の項目に入れてありますが、血液を取り除く手術ではなく、水頭症(髄液が脳の中にたまる病気)に対する手術です。脳出血を起こした時に、血液が脳室という脳の中にあるすき間に漏れ出ると、もともと脳室の中にある髄液(ずいえき)が行き場を失…

定位的血腫吸引除去術

内視鏡下血腫除去術が行われるようになったことで、この手術を行うことは減ってきました。脳への負担はかなり少ない手術ですが、脳出血を起こした時にすぐにできないのが大きな欠点です。脳出血を起こしてすぐは血液はゼリー状ですが、1日から数日経つと、だ…

内視鏡下血腫除去術

脳への負担は少ない手術ですので、最近主流になってきている方法です。内視鏡という先端にカメラのついた道具を使って手術を行います。 開頭血腫除去術と違い、必ずしも血腫の浅い場所で皮膚を切るわけではありません。太さが6~10mm程度の筒状のシースと呼…

開頭血腫除去術

大きく頭の骨を開いて、血液を取り除く手術です。命に関わる状況で、救命目的で行うことが多いです。通常の脳出血は細い血管からの出血ですので、血管の検査では異常を認めませんが、もし検査で血管の異常を認める(あるいは疑われる)場合は、手術中に大出…

脳出血のリハビリテーション

脳出血を起こして脳に傷がついてしまうと、その部分の脳は元には戻らないため、後遺症が残ってしまいます。この後遺症を少しでも軽くするために、リハビリテーションが有効です。リハビリの方法は、脳梗塞の時と同様です。 比較的軽い運動麻痺や言語障害であ…

脳出血の薬物治療

薬の治療の目的は、再出血を予防することと、脳浮腫(のうふしゅ)を軽くすることです。症状を良くする薬はありません。 通常は血は止まった状態で病院へ来られますが、切れた血管はしばらくは不安定ですので、また血が出る(再出血)ことがあります。これを…

脳出血の手術

出血の量が多くて、意識が悪かったり、命に関わる状況であれば、血液を取る手術(血腫除去術;けっしゅじょきょじゅつ)が必要です。しかし、脳梗塞の時の超急性期再開通療法と違って、血が出た瞬間に脳に傷がついてしまいますので、いくら急いで手術を行っ…

脳出血の治療方針(治療の流れ)

〇 脳出血は血管が切れた瞬間から症状が出るため、突然発症する病気です。基本的に前兆はありません。最初に病院に来られた時点で、まず緊急手術(血液を取り除いたり、水頭症の治療など)を行うか判断します。 〇 手術をしてもしなくても、再出血予防や脳浮…

脳室内出血

視床出血や小脳出血は、脳室という脳の中の空洞近くで起こるため、この脳室の中に穿破することがあります。少し漏れるくらいなら症状は出ませんが、たくさん漏れると、内側から脳を圧迫することになります。また、正常では脳室の中には髄液というお水がたま…

小脳出血に伴う閉塞性水頭症

小脳と脳幹のある後頭蓋窩(こうずがいか)というスペースは、大脳と比べると狭い空間ですが、髄液という水の動きに関して、とても重要な位置になります。髄液は心臓の動きに合わせて動いていますが、後頭蓋窩に大きな出血があると、この髄液の動きが障害(…

小脳出血

頭の中の上にある大脳と下にある小脳は、小脳テントという膜で仕切られており、小脳テントより下の空間を後頭蓋窩(こうずがいか)と呼びます。小脳と脳幹は後頭蓋窩にあります。 小脳は体のバランスを取る働きがあるため、小脳出血では、ふらつき、めまいな…

脳幹出血

脳幹(のうかん)は、大脳と脊髄(せきずい)をつなぐ位置にあります。脊髄は、背骨の中にある神経の集まりで、そこから手足へと神経がつながっています。 脳幹は、生命の中枢(ちゅうすう)とも言われ、脳幹が傷つくと、意識が悪くなったり、呼吸がうまくで…

皮質下出血

皮質(ひしつ)とは脳の表面(しわのある部分)のことで、そのすぐ下での出血が皮質下(ひしつか)出血です。大脳は、前頭葉、頭頂葉、後頭葉、側頭葉に分かれ、それぞれで働きが違いますので、どこで出血したかで症状も違ってきます。 前頭葉の中でも前の方…

被殻出血と視床出血

被殻(ひかく)や視床(ししょう)は、脳の少し深い部分の基底核(きていかく)とも呼ばれる場所です。被殻と視床の間には、内包(ないほう)と呼ばれる部分があり、ここを運動神経が走っています。大脳(脳の上の方)で手足を動かす指令を出し、その指令は…

脳出血の分類と症状

脳出血は、出血の部位によって名称がついています。脳の働きは、脳の部位によって違いますので、出る症状も出血の部位によって違います。 〇被殻出血、視床出血最も多いのが被殻(ひかく)出血、次が視床(ししょう)出血です。被殻や視床は、脳の少し深い部…

脳出血とは

高血圧が原因で起こることが多く、高血圧性脳出血とも呼ばれます。脳の動脈は、頭の中に入ってから、どんどん枝分かれして、先に行くほど細くなっていきます。太い動脈は脳の周りを走行し、脳の中に入り込むのはかなり細い動脈です。この細い動脈が脳の中で…

1 (2) 脳出血 (目次)

① 病気の説明 1) 脳出血とは 2) 脳出血の分類と症状 〇 被殻出血と視床出血 〇 皮質下出血 〇 脳幹出血 〇 小脳出血 〇 小脳出血に伴う閉塞性水頭症 〇 脳室内出血 ② 治療方針(治療の流れ) 〇 手術 〇 薬の治療 〇 リハビリテーション ③ 手術について 〇 …