脳の病気 脳の手術

脳の病気、脳の手術について分かりやすく解説します。自分の言葉で書きますので、間違った表現、間違った内容が含まれる可能性もあります。情報の取り扱いには十分ご注意下さい。

記事は順次追加していき、Twitterでもお知らせしますのでフォローをお願いします。脳の病気は、術後も長期的に経過を見る必要があるため、近くで信頼できる医師を見つけるのが良いと思います。愛知県東部の方は、直接相談にも乗れますので、必要な方はご連絡下さい。


質問箱(脳神経外科医@愛知県)

被殻出血と視床出血

被殻(ひかく)や視床(ししょう)は、脳の少し深い部分の基底核(きていかく)とも呼ばれる場所です。被殻視床の間には、内包(ないほう)と呼ばれる部分があり、ここを運動神経が走っています。大脳(脳の上の方)で手足を動かす指令を出し、その指令は神経を伝って実際の手足までつながっており、内包はその途中の通り道になります。したがって、被殻出血も視床出血も、手足の麻痺(まひ)が出やすいということになります。感覚の神経もほぼ平行して走っていますので、手足の感覚が鈍くなることもあります。症状の程度は出血の量と広がる方向で変わってきます。内包を完全に傷つけてしまうような出血の場合は麻痺の程度も重く、最終的に後遺症が残ってしまいます。逆に、出血量が少なく内包には少し圧迫がかかった程度であれば、症状も軽かったり、最終的には後遺症が残らなかったりします。

左側の被殻出血や視床出血では、失語(しつご)という言葉の障害が出ることもあります。言葉が出てこなくて話せなくなったり、周りから言われたことが理解できなくなったりします。被殻視床自体に言葉に関する機能があるわけではないので、時間とともに改善することもあります。

出血量が多いと、上記症状だけでなく、意識が悪くなったり、命に関わることもあります。意識があるかないかは、目が開いているか開いていないかで大まかな判断をすることが多く、すごく意識が悪い場合は、いびきをかくような呼吸となり、生命の危険があります。