脳出血の手術
出血の量が多くて、意識が悪かったり、命に関わる状況であれば、血液を取る手術(血腫除去術;けっしゅじょきょじゅつ)が必要です。しかし、脳梗塞の時の超急性期再開通療法と違って、血が出た瞬間に脳に傷がついてしまいますので、いくら急いで手術を行っても、後遺症は残ってしまいます。つまり、救命できたり、意識が戻ったとしても、麻痺(手足が動かない)や失語(言葉が話せない、理解できない)が残る可能性はとても高くなります。また、大きな脳出血では、手術でうまく血液が取れても、意識が戻らず植物状態となってしまうこともあります。(手術の具体的な方法は、また別の項で解説します)
出血が少ない場合は、手術は行いません。すでに脳に傷がついているため、血液を取り除いても症状を改善させるのは難しく、逆に、周りの脳まで傷つけてしまい、症状を悪化させてしまう可能性もあるからです。手術をしなくても、出た血液は、何週間かかけて、少しずつ体に吸収されます。血液が吸収されてくると、周りの脳への圧迫は減っていきますので、それに伴って、少し症状が改善することもあります。
脳室に水(髄液)がたまる水頭症になっている場合は、髄液を抜くために手術(脳室ドレナージ術)を行うこともあります。脳室の中に多量の血液も流れ込んでいる場合は、この血液も取り除いた方が、その後の病状が良くなることが多いため、後に述べる内視鏡下血腫除去術が有効です。