超急性期再開通療法
脳梗塞は、脳の血管がつまって、脳の一部が死んでしまう病気です。ただし、血管がつまってから脳が死んでしまうまでには数時間の猶予があります。つまり、血管がつまった瞬間に症状は出ますが、機能が停止しているだけで、まだ脳は死んでいないという時間があるわけです。この時間内に、つまった血管が再開通すれば、脳は死なずに済み、症状も消える可能性があります。脳梗塞は時間が大事と言われるのはこのためです。
この脳が死んでしまうまでの時間は、その時によってかなり差があり、早いと1時間くらいのこともありますし、長いと半日~1日くらいのこともあります。ただ、いくら長いと言っても、時間とともに死んでしまう領域はどんどん広がってしまうので、血管を再開通させる治療は少しでも早い方が良いです。脳の生き残った部分が広ければ広いほど、残る後遺症は軽く済みます。
血管を再開通する治療は、薬の治療(tPA静注療法)と血管内手術(血栓回収療法)があります。それぞれの治療については、また別の項で詳しく解説します。(血栓回収療法は「脳梗塞の手術」の項で解説します)
完全に脳が死んでしまってから血管の再開通治療を行うと、症状が改善しないだけでなく、出血を起こして、むしろ悪くなってしまうことがあります。死んでしまった脳は、もろくなっており、そこに血液が流れてくると、出血してしまうことがあるためです。この現象は、出血性梗塞と呼ばれます。広い範囲での出血性梗塞は、命に関わることもあります。