脳の病気 脳の手術

脳の病気、脳の手術について分かりやすく解説します。自分の言葉で書きますので、間違った表現、間違った内容が含まれる可能性もあります。情報の取り扱いには十分ご注意下さい。

記事は順次追加していき、Twitterでもお知らせしますのでフォローをお願いします。脳の病気は、術後も長期的に経過を見る必要があるため、近くで信頼できる医師を見つけるのが良いと思います。愛知県東部の方は、直接相談にも乗れますので、必要な方はご連絡下さい。


質問箱(脳神経外科医@愛知県)

血栓回収療法

血栓回収療法/血栓回収術は、血管内手術になります。
脳梗塞は血管がつまってしまう病気ですので、つまった血栓(血の塊)を取ってしまおうという治療です。したがいまして、脳梗塞の種類のうち、脳塞栓症に対して行う治療ということになり、アテローム血栓性脳梗塞ラクナ梗塞では行えない治療です。また、tPA静注療法と同様に、発症からある程度時間が経過して脳が死んでしまった後からでは、この手術の効果は期待できません。逆に、死んだ脳に血液が回ることで、出血を起こして悪くなってしまうこともあります。通常は6時間以内であれば行えることが多いですが、CTやMRIの検査結果によっては、もう少し遅くても(24時間以内)行うことがあります。

方法は、足の付け根からカテーテルを挿入し、血管(動脈)の中を通って脳まで到達し、まず造影の検査を行って、血栓のつまっている部位を確認します。次に、その血栓の中を、通常のカテーテルよりさらに細いマイクロカテーテルで一旦貫通しておきます。そのマイクロカテーテルの中を、血栓除去用の金属製の網目状になったステントを、折りたたんだ状態で進めていき、マイクロカテーテルのみ引き抜くことでステントを広げていきます。広がったステントに血栓がくい込んで絡みついてきますので、それを慎重に引っ張り出して除去します。血栓除去の道具は、このステント型以外にも、血栓を砕きながら吸い取っていくようなものもあります。