減圧開頭術(外減圧術)
広い範囲の脳梗塞では、死んだ脳がどんどんむくんできます。脳浮腫(のうふしゅ)と呼ばれ、発症から72時間(3日間)くらいまでは悪化し続けます。この脳浮腫によって正常の脳(特に真ん中にある脳幹と呼ばれる部分)が圧迫されて、意識が悪くなったり、呼吸状態が悪くなって命に関わることも出てきます。
この状態を避けるために行われるのが減圧開頭術(げんあつかいとうじゅつ)です。外減圧術(がいげんあつじゅつ)とも呼ばれます。脳はまわりを硬い頭蓋骨(ずがいこつ)で囲まれているために、むくんだ脳により真ん中にある脳幹(のうかん)が圧迫を受けます。頭蓋骨の一部を切除することで、むくんだ脳が外に向かってふくらむ余裕ができ、脳幹への圧迫を軽くすることができます。ただし、表面の皮膚は縫い合わせて閉じるわけですので、外にふくらむと言っても限界があります。脳梗塞の範囲があまりにも広すぎると、この手術を行っても乗り切れないこともあります。
切除した頭蓋骨は、数週間経って脳浮腫が引いてから、再度戻すことができます。⇒ 頭蓋骨形成術
広い範囲の脳梗塞となり、減圧開頭術を行う必要が出てきた時に最も考えないといけないことは、いくらこの手術で乗り切ったとしても、脳梗塞となってしまった部分は元には戻らないということです。つまり、命は助かっても、重い後遺症が残ります。左側の脳梗塞では右半身の麻痺と言葉の障害、右側の脳梗塞では左半身の麻痺が必ず残ります。また、意識そのものが戻らず、寝たきりとなってしまうこともあります。