下垂体卒中
下垂体腺腫は、腫瘍の中で出血を起こすことがあります。これを下垂体卒中(かすいたいそっちゅう)と呼びます。腫瘍が突然大きくなりますので、周辺の組織に影響が出ます。ゆっくり大きくなる分には、周りの組織も少しずつ形が変化し、症状も出にくいのですが、突然大きくなって周りに圧迫がかかると、症状も強く出ます。
下垂体の上にある目の神経(視神経)に影響が出ると、視野(見える範囲)が狭くなったり、視力が落ちたり、場合によっては失明まで至る可能性もあります。下垂体の両サイドには、目を動かす神経がありますので、目の動きが悪くなり、両目の焦点が一致しなくなり、物が2つに見える複視(ふくし)という症状が出ることもあります。
正常下垂体も圧迫を受けますので、ホルモンが急激に下がってしまうことがあります。その結果、血圧や血糖値が急激に下がったり、ナトリウム値が下がって意識が悪くなることもあります。
また、頭痛や嘔吐(おうと)も起こりやすいです。
神経の圧迫に対しては緊急手術が必要ですし、ホルモンの低下に対しては薬によるホルモン補充が必要です。