脳の病気 脳の手術

脳の病気、脳の手術について分かりやすく解説します。自分の言葉で書きますので、間違った表現、間違った内容が含まれる可能性もあります。情報の取り扱いには十分ご注意下さい。

記事は順次追加していき、Twitterでもお知らせしますのでフォローをお願いします。脳の病気は、術後も長期的に経過を見る必要があるため、近くで信頼できる医師を見つけるのが良いと思います。愛知県東部の方は、直接相談にも乗れますので、必要な方はご連絡下さい。


質問箱(脳神経外科医@愛知県)

聴神経腫瘍の症状について

聴神経腫瘍は、前項(聴神経について聴神経腫瘍について)で解説したように、主には三半規管をコントロールする前庭神経から発生する腫瘍ですが、ゆっくりと成長する腫瘍のため、自然に体がバランスを調整するようになり、前庭神経の症状(めまいやふらつき)は出にくいです。

最も出やすい症状は聴力障害ですが、聴力もゆっくり落ちてきますし、片側だけの症状で、反対側の聴力は異常ありませんので、意外と気づいていないとか、気にされていないことも多いです。しかし中には、突発性難聴(とっぱつせいなんちょう)という耳の病気のように、急に耳が聞こえにくくなり、また元に戻ったりすることもあります。念のため脳の検査してみると聴神経腫瘍が見つかったということも時々あります。

聴神経について」の項で述べたように、顔面神経という顔を動かす神経もすぐとなりを平行して走っているため、聴神経腫瘍は顔面神経に接したり、圧迫したりしていることがほとんどです。しかし、この顔面神経の障害で起こる顔面麻痺(片側の顔の動きが悪くなる)は、腫瘍がかなり大きくならないと出てきません。

聴神経腫瘍について」の項で述べたように、腫瘍が大きくなると、脳幹や小脳を圧迫するようになります。これらの脳への圧迫が強くなってくると、全身の症状が現れてきます。小脳の圧迫症状としてふらつきやめまいが、脳幹圧迫の初期症状として反対側の手足の麻痺(動きが悪くなる)などが出てきます。脳幹の圧迫がさらに強くなると、意識が悪くなったり、命に関わることもありえます。

もう一つ、水頭症(すいとうしょう)を起こすこともあります。水頭症とは、髄液という水が頭の中にたまってしまう病気で、歩行時のふらつきや、認知症などの症状が出てくることがあります。