脳の病気 脳の手術

脳の病気、脳の手術について分かりやすく解説します。自分の言葉で書きますので、間違った表現、間違った内容が含まれる可能性もあります。情報の取り扱いには十分ご注意下さい。

記事は順次追加していき、Twitterでもお知らせしますのでフォローをお願いします。脳の病気は、術後も長期的に経過を見る必要があるため、近くで信頼できる医師を見つけるのが良いと思います。愛知県東部の方は、直接相談にも乗れますので、必要な方はご連絡下さい。


質問箱(脳神経外科医@愛知県)

聴神経について

聴神経腫瘍のことを述べる前に、聴神経の働きや構造について述べておきたいと思います。

聴神経(ちょうしんけい)は、主に耳で聞いた音を脳に伝える神経ですが、頭や体のバランスを取るのに重要な三半規管(さんはんきかん)を調整する働きもあります。聴神経をさらに細かく分類すると、音を伝える蝸牛神経(かぎゅうしんけい)と、三半規管をコントロールする前庭神経(ぜんていしんけい)があり、さらに前庭神経は上下の2つに分かれます。つまり、蝸牛神経、上前庭神経、下前庭神経の3つを合わせて聴神経と呼びます。

聴神経は、耳から入ってきた情報を脳に伝えますので、頭蓋骨を通り抜ける必要があります。この通り抜けるトンネルが内耳道(ないじどう)です。聴神経腫瘍は、前庭神経(主に下前庭神経)の内耳道の中の部分から発生することがほとんどです。

聴神経は、顔面神経という顔を動かす神経と平行して走っています。聴神経と顔面神経は、脳とつながっている部分もすぐ近くですし、内耳道の中も一緒に平行して走っています。したがって、聴神経にできる聴神経腫瘍は、顔面神経とも接していることがほとんどです。顔面神経の主な働きは、おでこにしわを寄せる、目を閉じる、口元を動かすといった顔の動きと、味覚や涙を出す働きもあります。

聴神経も顔面神経も、左右でそれぞれ分かれていますので、これらの神経の障害が出た場合は、通常は片側だけになります。