脳の病気 脳の手術

脳の病気、脳の手術について分かりやすく解説します。自分の言葉で書きますので、間違った表現、間違った内容が含まれる可能性もあります。情報の取り扱いには十分ご注意下さい。

記事は順次追加していき、Twitterでもお知らせしますのでフォローをお願いします。脳の病気は、術後も長期的に経過を見る必要があるため、近くで信頼できる医師を見つけるのが良いと思います。愛知県東部の方は、直接相談にも乗れますので、必要な方はご連絡下さい。


質問箱(脳神経外科医@愛知県)

くも膜下出血について

とても有名な病気なので、耳にしたことがある人も多いのではないでしょうか。命に関わったり、寝たきりになってしまうことも多い病気です。一方、治療がうまく進めば、ほぼ後遺症無く社会復帰できる方もいらっしゃいます。

脳の血管の構造は、太い血管は脳の表面やすき間を通っていて、脳の中を通っているのはとても細い血管です。脳の中の細い血管が切れると脳出血、脳の表面の太い血管が切れるとくも膜下出血になります。そう考えると、脳出血くも膜下出血の病気の違いが理解しやすいと思います。

 

くも膜下出血の原因

太い血管は丈夫ですので、簡単には切れません。元々血管に異常がある場合がほとんどで、その代表が動脈瘤(どうみゃくりゅう)です。くも膜下出血を起こされた方の9割くらい(10人中9人くらいの割合)で動脈瘤が見つかります。それ以外に、脳動静脈奇形(AVM)や、もやもや病から出血することもあります。たまに、血管の異常が見つからない方もいらっしゃいますが、そういう方は出血量が少なく軽症のことが多いです。

 

くも膜下出血の症状

くも膜下出血の症状で最も多いのは、激しい頭痛と嘔吐です。特に頭痛は、「人生で一番激しい頭痛」とか「金属バットで思いっきり殴られたような頭痛」と表現されるくらい、激しい頭痛です。意識を失ってしまうことも多いですが、意識を失わなくても、自分では動けないくらいの症状であり、ほとんどの方が救急車で病院へ来られます。

くも膜下出血は、太い血管からの出血ですので、出た血液が一気に脳全体に広がります。血が出る場所は脳の表面なので、脳のすき間を伝って広がります。すき間を伝って広がるだけであれば、脳そのものは壊されないので、後遺症無く社会復帰できる可能性もあるわけです。逆に脳出血は脳の中で出血を起こすので、確実に脳が壊れます。したがって、後遺症が残る可能性も高くなります。

ただし、いくら脳の表面の出血とは言っても、太い血管からの出血ですので、出血量が多くなりやすく、命を失ったり、意識が悪くなって寝たきりになってしまうことも多くあります。また、もともとある動脈瘤が、脳の中に食い込んでいるような場合は、脳の中にも出血が入り込んでしまい、脳を壊してしまうこともあります。