聴神経腫瘍について
聴神経腫瘍は、聴神経の中でも、前庭神経(主に下前庭神経)から発生することがほとんどです。また、神経そのものからではなく、神経の周囲を覆っている鞘(さや)から発生するため、神経鞘腫(しんけいしょうしゅ)と呼ばれることもあります。また、Schwannoma(シュワノーマ)と呼ばれることもあります。
聴神経腫瘍は、骨のトンネルである内耳道の中の部分から発生し、空間として余裕のある脳の方へ向かって増大していきます。腫瘍が大きくなるにつれ、内耳道の出口の骨もラッパ状に広がっていきます。
さらに腫瘍が大きくなると、脳に接し、さらに圧迫するようになります。ここの脳は、脳幹(のうかん)や小脳という場所で、大きな腫瘍では、ここの圧迫症状も出てきます。詳しい症状は、また次回改めて解説します。
聴神経腫瘍は良性腫瘍であり、何年もかけてゆっくり大きくなります。大きくなると神経や脳を圧迫しますが、浸潤(しみわたるように広がること)したり、他の部分へ転移することはありません。