脳血管攣縮(のうけっかんれんしゅく)
脳の太い動脈が切れると、その動脈の周りが血液で覆われるようになります。この血液が動脈に悪影響を与え、血管が収縮(縮こまる)して細くなってしまうことがあります。血管が細くなると、脳へ送られる血液の量が減りますので、脳の栄養が不足して脳梗塞になってしまいます。その時に出る症状は、どの血管が細くなり、脳のどの部分の栄養が不足するかによって変わってきます。分かりやすい症状は、どちらか片側の手足の麻痺(動きが悪くなる)や、言葉の障害(言葉が話せなくなったり、理解できなくなる)などです。栄養が不十分になるとまず最初に症状が出ますが、すぐには脳は死なず、この間にまた栄養が回ってくると症状も元に戻る時間帯があります。しかし、栄養が不足した状態が数時間以上続くと、そこの部分の脳は完全に死んでしまい、元には戻らなくなって後遺症が残ってしまいます。
脳血管攣縮は、くも膜下出血を起こしてから4日目あたりから起こり始め、徐々に悪化していきます。7日から10日目あたりがとても強くなり、14日目くらいまで続きます。この2週間を超えると、また血管は元通りに太く戻っていきます。したがって、この2週間を後遺症なく乗り切れば、元の生活に戻れる可能性も高くなります。
2週間を超えた後も、水頭症(次項で詳しく解説します)が起こって症状が悪化することもありますが、水頭症は適切な治療(手術)で治すことができるので、後遺症が残るのは、脳血管攣縮が起こる2週間までということです。