下垂体腺腫の開頭手術
脳の下面にできる腫瘍ですので、場所としては頭蓋底(ずがいてい)ということになります。したがって、ここに到達する開頭手術は、「頭蓋底髄膜腫の手術」と似ています。
腫瘍は真ん中にある下垂体から発生しますので、腫瘍の広がる方向によって、左右どちらから手術するかが変わってきます。開頭する位置は、こめかみのあたりになります。ここを囲むように皮膚を切りますが、おでこに傷が出ないように、髪の毛の生えている部分におさまるようにします。ここの皮膚の下には筋肉もありますので、それも骨からはがしてよけておきます。骨に3~4個の穴を開け、それをドリルでつないで開頭を行います。骨の下には硬膜があり、硬膜を切ると、正常の脳が出てきます。この脳を少しよけてスペースをつくり、そこから深部へと進み、腫瘍に到達します。頭蓋底には大事な神経や血管が多数ありますので、それらを傷つけないようにしながら腫瘍を取り除いていきます。腫瘍は柔らかくて取りやすいことが多いですが、一方向からではどうしても陰になって取れない部分も出てきます。腫瘍が多く残ると、術後にそこから出血することもありますので、できる限りしっかり腫瘍を取ることが大事です。腫瘍を取り終わると、開頭部で切った硬膜を縫い合わせ、はずした骨をプレートとネジで止め、筋肉と皮膚を縫い合わせて終了です。