下垂体腺腫の症状と治療方針
下垂体腺腫(せんしゅ)は、下垂体を構成している細胞が異常に増えることによって増大していきます。下垂体は様々なホルモンを作っている場所ですので、どのホルモンを作る細胞が増えるかで種類が分かれます。症状や治療法については、種類ごとに違うので、また別項で、それぞれに分けて詳しく解説します。
どの種類にも共通の症状として、視力と視野(見える範囲)の症状があります。下垂体のすぐ上には目の神経(視神経)が走っており、腫瘍が大きくなると、この神経を圧迫します。この時に出やすいのは、両耳側半盲(りょうじそくはんもう)と呼ばれる症状です。右目の耳側(右側)半分と、左目の耳側(左側)半分が見えなくなります。少しややこしい話ですが、両耳側半盲があっても、右目の鼻側(左側)と左目の鼻側(右側)は見えていますので、両目で見ると、見えない部分がなくなり、患者さんは気づいていないこともあります。この症状がどんどん進み、真ん中あたりの視野まで障害されてくると、視力そのものが落ちてきます。
一般的には両耳側半盲ですが、腫瘍の増大の方向が変わると、視神経の圧迫される場所も変わるため、違ったパターンの視野異常が出ることもあります。
このような目の症状が出ている場合は、早めの治療が必要です。視神経の圧迫期間が長くなると、治療を行って圧迫が取れても、症状は元に戻らなくなってしまいます。