腫瘍栄養血管塞栓術
血管内手術になります。腫瘍を栄養している血管をつめてしまい、摘出術を行う時に血が出ないようにしたり、腫瘍が壊死(えし)して柔らかくなり摘出しやすくするために行います。したがって、この手術は、摘出術の数日前に補助的に行います。
髄膜腫は硬膜から発生しますので、腫瘍が成長するための栄養も硬膜の血管から取り込みます。頭部の血管は、首の部分で、脳を栄養する内頚動脈(ないけいどうみゃく)と、皮膚や筋肉を栄養する外頚動脈(がいけいどうみゃく)に分かれます。硬膜の血管は外頚動脈から流れてきますので、髄膜腫は外頚動脈系から栄養されることになります。脳に行く血管をつめてしまうと脳梗塞になってしまいますが、外頚動脈系の血管は選んで慎重につめれば問題を生じないことが多いので、髄膜腫に行く血管をつめることができます。
ただし、腫瘍が大きくなると、接している脳側から、つまり内頚動脈系からも栄養血管が入ってくるようになることもあり、そちらの血管はつめることができません。
方法は、足の付け根の動脈に針を刺し、動脈の中をカテーテルを進め、首の部分で外頚動脈の方へ進めます。そこからさらに細いマイクロカテーテルを進め、硬膜を栄養する血管まで到達し、腫瘍を栄養している血管を選びます。そこから血管をつめる物質を流して、腫瘍に入る栄養を断ちます。