脳の病気 脳の手術

脳の病気、脳の手術について分かりやすく解説します。自分の言葉で書きますので、間違った表現、間違った内容が含まれる可能性もあります。情報の取り扱いには十分ご注意下さい。

記事は順次追加していき、Twitterでもお知らせしますのでフォローをお願いします。脳の病気は、術後も長期的に経過を見る必要があるため、近くで信頼できる医師を見つけるのが良いと思います。愛知県東部の方は、直接相談にも乗れますので、必要な方はご連絡下さい。


質問箱(脳神経外科医@愛知県)

髄膜腫の症状

髄膜腫は頭の中の色んなところにできますので、できる場所によって症状もそれぞれ違います。症状の出かたはゆっくりで、最初は気づきにくいほど軽いことが多いです。

頭の上の方の脳が圧迫されると、足の麻痺(力が入らない)であったり、感覚がにぶくなり、歩く時にふらつきやすくなります。横の方の脳が圧迫されると、手の麻痺や感覚の異常が出ます。言葉の障害が出ることもあります。
大脳の底側で前の方(鼻の上ということになります)だと、嗅覚(きゅうかく)が無くなり、においを感じなくなります。ただ、進行がゆっくりなので、患者さんは症状に気づかないことが多く、ここにできた髄膜腫はとても大きくなってから発見されることが多いです。底側でもう少し奥にできた場合は、視力や視野障害(見える範囲が狭くなる)が出ます。

後頭部から首のあたりにかけては、小脳や脳幹といった場所になります。小脳の圧迫は、バランスが取りにくくなり、ふらつきやめまいが出ます。脳幹は機能が複雑ですし、そこから何本もの神経がひげのように出ていますので、脳幹の周りにできた髄膜腫の場合は、とても多彩な症状が出ます。脳幹そのものの圧迫では、手足の動きが悪くなってふらついたり、神経の症状では、複視(物が二重に見える)、顔の感覚の障害(片側の顔の感覚がにぶくなったり、痛みを感じる)、顔面麻痺(片側の顔の動きが悪くなる)、聴力障害(耳が聞こえにくくなる)、飲み込みが悪くなる、声がかすれる、などです。

あとは、大きな髄膜腫では、頭痛(特に朝方に強い痛み)や頭重感(頭が重い感じがする)も出ます。また、けいれん発作を起こし、検査の結果で髄膜腫が見つかることもあります。脳や神経は電気信号でやり取りをしていますが、脳に異常が生じると、その部分から異常な信号が発信されてしまい、脳全体に広がって全身けいれんが起こります。軽いけいれんだと手足のみにとどまることもありますが、全身に広がると意識も失ってしまいます。