脳の病気 脳の手術

脳の病気、脳の手術について分かりやすく解説します。自分の言葉で書きますので、間違った表現、間違った内容が含まれる可能性もあります。情報の取り扱いには十分ご注意下さい。

記事は順次追加していき、Twitterでもお知らせしますのでフォローをお願いします。脳の病気は、術後も長期的に経過を見る必要があるため、近くで信頼できる医師を見つけるのが良いと思います。愛知県東部の方は、直接相談にも乗れますので、必要な方はご連絡下さい。


質問箱(脳神経外科医@愛知県)

円蓋部髄膜腫の手術

円蓋部(えんがいぶ)については、「髄膜腫の手術」を参考にして下さい。

まず、腫瘍の位置を、術前検査の結果や、ナビゲーションシステムという頭の中の位置を確認する機械などを使って確認します。その腫瘍をすべて囲めるように開頭位置を決定します。そして、その開頭位置を露出できるように皮膚を切る位置を決定します。基本的には毛髪内で切開し、傷口が毛髪で隠れるようにします。
皮膚を切ってめくると、すぐ下に骨が出てきます。場所によっては、皮膚の下に筋肉がありますので、その場合は筋肉も切ります。開頭は、数か所に穴をあけ、その穴をつなぐようにドリルで切って行います。硬膜は頭蓋骨の内側を覆っていますので、骨をはずすと、すぐに硬膜が出てきます。円蓋部髄膜腫は、ここの硬膜からできた髄膜腫ですので、硬膜ごと切り取って摘出してしまえば、全摘出が可能です。切り取った硬膜の代わりは、人工硬膜であったり、体の他の部分から膜を取ってきて縫い合わせます。
重要なのは、脳と腫瘍をはがす操作です。簡単にはがれる部分は問題ありませんが、癒着していてなかなかはがれないこともあります。これを無理にはがすと、脳そのものや、脳の表面を走っている血管を傷つけたりしてしまうことがあるため、わざと薄く腫瘍を残すこともあります。腫瘍が残ると再発の可能性が残りますが、良性腫瘍であることが多いため、再発までは何年も先になりますし、それよりも正常脳を傷つけて後遺症が残ってしまうことの方が問題です。
腫瘍の摘出が終わると、硬膜を代用のものを使って縫い合わせ、開頭ではずした骨をプレートとネジを使って固定します。最後に皮膚を縫い合わせ手術を終了します。