脳の病気 脳の手術

脳の病気、脳の手術について分かりやすく解説します。自分の言葉で書きますので、間違った表現、間違った内容が含まれる可能性もあります。情報の取り扱いには十分ご注意下さい。

記事は順次追加していき、Twitterでもお知らせしますのでフォローをお願いします。脳の病気は、術後も長期的に経過を見る必要があるため、近くで信頼できる医師を見つけるのが良いと思います。愛知県東部の方は、直接相談にも乗れますので、必要な方はご連絡下さい。


質問箱(脳神経外科医@愛知県)

聴神経腫瘍に対する放射線治療について

聴神経腫瘍は、比較的放射線治療が効きやすい腫瘍です。ガンマナイフやサイバーナイフといった、一ヶ所に集中的に放射線を当てる機械が適しています。
放射線治療の最大の利点は、頭を開けなくても良いという安全性になろうかと思います。とても良い治療ですが、欠点もいくつかありますので、それもしっかり考えた上で判断していく必要があります。
〇まず、聴力に関しては残すことはできません。治療前に聴力が残っている方でも、いずれ落ちてきます。もともと聴力が無くなっている方は、この点はあまり関係ないことになります。一方、聴神経と平行して走っている顔面神経の機能については、あまり悪くなることはありません。
放射線治療の後、一旦少し腫瘍が大きくなり、その後小さくなるといった経過をたどることがあります。ですので、すでに大きな腫瘍で脳への圧迫がある場合は、症状が悪化してしまう可能性があり不向きです。また、大きな腫瘍では、脳と接している部分も多いため、正常の脳にも放射線が当たり、放射線の副作用として脳の障害が出る可能性もあります。
〇とても低い確率ですが、放射線の影響で、良性腫瘍が悪性に変化してしまうこともあり得ます。悪性腫瘍になると、手術で取り切ることも難しくなり、とても手が付けられない状態となり、命に関わる可能性も高くなります。
〇腫瘍そのものを取ってくるわけではないので、病理診断による確定診断はできません。通常、脳腫瘍においては、MRIなどの画像による検査結果は、確定診断ではありません。ただし、聴神経腫瘍は、できる場所や腫瘍の広がり方が特徴的で、画像検査の結果と、腫瘍そのものの診断(病理診断)が合わないことはほとんどありませんので、この点が問題になることはあまりありません。