脳の病気 脳の手術

脳の病気、脳の手術について分かりやすく解説します。自分の言葉で書きますので、間違った表現、間違った内容が含まれる可能性もあります。情報の取り扱いには十分ご注意下さい。

記事は順次追加していき、Twitterでもお知らせしますのでフォローをお願いします。脳の病気は、術後も長期的に経過を見る必要があるため、近くで信頼できる医師を見つけるのが良いと思います。愛知県東部の方は、直接相談にも乗れますので、必要な方はご連絡下さい。


質問箱(脳神経外科医@愛知県)

髄膜腫の治療方針

治療方針は、腫瘍の場所、大きさ、症状、年齢などによって変わるため、最終的には個々の患者さんで対応を考える必要があります。したがって、ここで述べる内容は一般論と考えて下さい。

まず、腫瘍が小さくて、症状もない場合は、治療を行わず様子を見ることが多いです。定期的に検査を行い、腫瘍が大きくなってきたり、症状が出た時に治療を考えます。

治療が必要な場合、まず手術による摘出を考えます。
基本的には良性腫瘍であり、ほぼすべての腫瘍が摘出できれば、そう簡単には再発しません。一回の手術で、一生を全うできる可能性が高くなります。ただし、長い年月をかけて再発する場合もありますので、術後も定期的な検査は必要です。
手術のもうひとつの利点は、診断を確定できることです。取ってきた腫瘍を細かく検査することで、髄膜腫の中でもどういうタイプのものか確認することができます。ごくまれですが、悪性の髄膜腫ということもありますので、診断を確定させることはとても大切です。

手術以外の治療法としては、放射線治療があります。ガンマナイフやサイバーナイフといった機械による放射線治療が適しています。
放射線治療は、病気を治すというより、進まないようにする治療です。ですので、すでに症状があるとか、大きな腫瘍には適していません。また、最初の治療が放射線治療だと、診断の確定もできません。治療の副作用として、腫瘍の周りの正常脳にも少し放射線が当たりますので、それにより脳がはれて症状が出ることもあります。また、頻度はかなり少ないですが、良性の腫瘍が放射線を当てることで悪性になってしまうこともありえます。

したがって、まずは第一に手術を考えます。腫瘍の場所(手術が難しい場所)や、年齢などにより手術ができない場合は、放射線治療を選択することもあります。
手術を行って、悪性であることが分かったり、取り残した腫瘍が多い場合には、術後に放射線治療を行うこともあります。また、しっかり摘出できていても、何年か経って再発してきた場合は、放射線治療を行うことがあります。