脳の病気 脳の手術

脳の病気、脳の手術について分かりやすく解説します。自分の言葉で書きますので、間違った表現、間違った内容が含まれる可能性もあります。情報の取り扱いには十分ご注意下さい。

記事は順次追加していき、Twitterでもお知らせしますのでフォローをお願いします。脳の病気は、術後も長期的に経過を見る必要があるため、近くで信頼できる医師を見つけるのが良いと思います。愛知県東部の方は、直接相談にも乗れますので、必要な方はご連絡下さい。


質問箱(脳神経外科医@愛知県)

脳梗塞の症状

脳梗塞で出やすい症状は、手足や顔の運動麻痺、言葉の障害、手足や顔の感覚の異常、目の症状、意識障害などがあり、これらが組み合わさって出てきます。
ただし、これらは「脳が障害された時の症状」であり、脳梗塞以外の脳の病気でも出る症状ですので注意が必要です。診断をつけるためには、症状だけでなく、CTやMRIといった検査結果も重要になります。

手足の運動麻痺は、最も出やすい症状であり、比較的分かりやすい症状だと思います。右か左かどちらか片側のことがほとんどで、手と足の両方に麻痺が出ます。麻痺の程度はそれぞれで、重症だと全く動かなくなりますし、軽症だといつもより少し力が入りにくい程度のこともあります。また、まれに、手だけや足だけということもあります。

言葉の障害は、大きく2つに分けると考えやすいと思います。
ひとつは呂律不全とか構音障害と言われるもので、ろれつが回らなくなり、本人もしゃべりにくい、周りからも聞き取りづらくなります。ただし、この場合は、言葉の内容には異常がないため、意思疎通は取れます。
もうひとつは、失語(しつご)と言われるもので、言葉そのものの障害です。正常の発言ができなくなったり、周りの人が言っていることを理解できなくなったりします。自分から話す機能と、聞いて理解する機能は、脳の中でも違う場所でコントロールされているため、どちらか一方だけ障害されることもありますし、両方とも障害されることもあります。

手足や顔面の感覚の異常が出ることもあります。感覚がにぶくなり触っても感じにくいとか、しびれが出ることもあります。ただし、しびれに関しては、脳とは関係ない他の病気で出ることもよくありますので、症状がしびれだけの場合は、診断する時に注意が必要です。

目の症状で気をつけたいのが、一過性黒内障(いっかせいこくないしょう)、同名半盲(どうめいはんもう)、共同偏視(きょうどうへんし)といった症状です。
「一過性黒内障」は、突然片側の目が真っ暗になる症状です。目を栄養している動脈がつまることが原因で、この症状自体は一時的なことが多いですが、脳梗塞の前兆である可能性もあるため、精密検査が必要です。
同名半盲」は、右目の右側と左目の右側(つまり両目で見ても右側)、あるいは右目の左側と左目の左側(つまり両目で見ても左側)半分が見えなくなる症状です。正常側半分は見えているため、目を動かしたり、顔ごと動かせば、見ることはできるので、出ている症状に気づかないこともあります。脳の後頭葉(こうとうよう)という場所の障害で出る症状です。
共同偏視」は、両目が左右どちらか一方(同じ方向)に向いてしまう症状です。比較的広い範囲の脳梗塞で出ることが多いため、運動麻痺や言葉の障害など他の症状と合わせて出ることがほとんどです。逆に、共同偏視がある時は、広い範囲の脳梗塞の可能性があり、早急な対応が必要になります。
その他、複視(ふくし)と言って、物が二重に見える症状が出ることもありますが、これは他の病気で出ることの方が多いので、脳梗塞の症状としてはあまり典型的ではありません。

広い範囲の脳梗塞では、意識そのものも悪くなり、話しかけたり、ゆさぶったりしても反応が無くなってしまうこともあります。ただ、意識が悪くなる病気は他にもたくさんありますので、上記のような脳梗塞に特徴的な症状が確認できないと、病気を診断するのが難しくなります。